トラップやパス、ドリブルの練習はしているけど、試合になると慌てて中々上手くいかない・・・。
試合になると、ミスが多くなってしまう・・・。
試合で活躍できない・・・。
などの悩みを抱えている子供たちは多くいると思います。練習しているにも関わらず、中々上手くいかない・・。
技術はあるけど、試合で活躍できない・・・。
では、そういう選手って一体何が悪いのでしょうか?
サッカーは相手選手、味方選手がピッチ内に入り混じり試合が進められていきます。やりたいプレーをさせないように相手は邪魔をしてきます。
なのでプレーするときは、周りの状況を確認し(観る)、効率的にゴールを奪うためにどんなプレーを行うか考え(判断)、実際にプレーを行います(アクション)。
状況判断ができていなければ、良いプレーを選択することは難しい。
そして良いプレーを選択しなければゴールに繋がりません。
ほとんどの子供たちは、このサイクルを理解していないし、どのサイクルでミスをしているのかを、適当にしている選手や指導者も多いと感じます。
私の経験をもとに、話していきたいと思いますので、子供たちの参考になれればと思います。
私の自己紹介です。
・元プロサッカー選手
・日本サッカー協会公認
B級ライセンス保持
(A級取得見込み)
・プロサッカーコーチ7年目
・ソルデマーレ沖縄サッカースクールを経営者兼コーチ
・ソルデマーレ沖縄FC
クラブチーム総監督
・FC琉球U-12監督1年(2018)/現在はFC琉球U-15那覇の監督3年目
スポーツ(サッカー)に大事なサイクルを知ろう!
あなたがミスをする原因や上達しない原因だったり、上手くいかない原因に大きく関わるのが、このサイクルを知らないという事です。
これを知らない事は、改善点を見つけ出せずに、同じミスを繰り返し、中々向上しないという問題が発生します。
なので、もし2人の少年が同じように1年間練習したとしても、これを知っている子と知らない子では、かなりの 差がついてしまいます。
そのサイクルとは?
- 観る(周りの状況を確認する)(認識)
- 判断する(プレーの選択)
- アクション(実際にプレーをする)
サッカー選手は、これを90分間頭の中でサイクルを回し、プレーしています。多分、他のバスケットやバレーなどの球技も該当するかと思います。
プロになれば、無意識レベルで高速にサイクルを回してプレーしていますし、トッププロになれば、無意識レベルで超高速で行っています。
小学生の上手い選手は、このサイクルを回してプレーしていますし、あまり活躍できない選手は、ほとんど回してプレーしていないかと思います。
このサイクルが回っていない選手が、
よく言われる言葉がわかりますか?
それは「準備不足」とよく言われます。
例えば、選手が周りを観ていないくて、ポジショニングがおかしかったら、指導者は多分「ポジションをちゃんと取れよ」と言うと思います。
もし、ボールが来てからどうしようかな?と考えている場合も、こう言われるかもしれません。「ボールが来る前に考えておけよ」と。
あなたも言われた経験ありませんか?
これが、いわゆる「準備不足」です。
もちろん準備不足の選手は、試合で活躍できませんし、ミスも多くなってしまいます。
この準備不足を解消するためにも、普段のトレーニングからこのサイクルを回すことを意識して、習慣化していく事が重要になります。
指導者はこのサイクルを回すための手助けをしなくてはならないと思っています。
では、1つ1つ解説していきましょう!
1.観る(周りの状況を確認する)
これから行うプレーを選択するためには、まずは状況を観る必要があります。
良い判断をするためには、相手選手の状況、味方選手の状況、スペース、ボールの状況を常に把握しておく必要があります。判断をするために必要な情報をインプットするためには周りを良く観ておくことが重要です。
サッカーの初心者とサッカーが上手い選手の違いは、この状況確認ができるかどうか。初心者はどうしてもボールばかりを見てしまいます。子どもたちもそうです。そうすると良い判断をすることは難しい。
サッカーでは、よく「首振れ!!」とか「周りを観てごらん」というコーチングを聞きますよね。
周りを観る目的は、判断するために必要な情報をインプットすることです。
2.判断(プレーの選択)
ボールを保持している時は勿論、オフザボール時、ボールを受ける時も、サッカーをしているときは判断の連続です。素早く良い判断を行うためにはどうすればいいか?効率的にゴールを奪うためにはどんなプレーが必要なのか?を考える必要があります。
プレーを選択する場合の判断の基準は、効率的にゴールを奪う(攻撃時)/相手ボールを味方ボールにするためにはどうするか?(守備時)です。
状況を確認することによって選択するプレーは変わるハズです。相手、味方の位置、ボールを受けるエリアや、ボールがどこにあるかなどによって効果的にゴールを目指すプレーが変わります。自分がシュートを打つより、味方にパスを通した方がゴールの確率が高いのであればパスを選択するなど、サッカーを知ることが大切になります。
この判断はサッカーを知ること、経験をすることでより良い判断ができるようになってきます。
なので、常にトレーニングから良い判断ができるように考えてプレーしなくては、試合でいきなりできるようにはなりません。指導者はどの判断が良くて、悪い判断だったのかを子供たちに気づかせたり、プレーの優先順位を理解させることが必要です。
判断ができなかったり、準備不足の選手の悩みとしては、「何を観て、何を選択して、実行していいかがわからない」という選手が多いと思うので、どういう状況だったのか?この判断の間違いはなんだったのか?技術は伴っていたのか?など、1つ1つ教えてあげる事も大事だと感じています。
3.アクション(実際にプレーする)(実行)
状況を確認し、効率的にゴールを奪うため(攻撃)、ゴールを守るために何をするか(守備)を判断しアクションを起こします。
選手が選択したプレーを行うためにはスキルが必要です。スキルを身につけるためには繰り返し訓練する必要があります。キックが出来なければ良い判断をしてもパスは通りません。
なので、選択したアクションを成功させるためにも、技術の向上トレーニングも欠かさず行うことが必要です。
しかし、技術があっても活躍できるとは限りません。
ドリブルが上手い選手でも味方のゴール前で相手に囲まれながらドリブルをするなど判断を間違えたプレーを選択していては活躍する選手にはなれません。
やはり試合で活躍するには、このサイクルをバランス良く身につける事が重要になってきますね!
改善点を見つけ出そう
サッカーの試合やトレーニングを観ていて子どもたちがミスをする原因や、
上手くいかない原因は、上記で紹介したサイクルの欠如が原因です。
- スキル不足(アクション)
- 判断ミス(判断)
- 状況確認不足(観る)
例えば、トラップを行うときに相手にボールを奪われた場面では
- 単純にスキルが足りず、ボールのコントロールに失敗したのか
- トラップするよりワンタッチでパスを出した方が良かったのに判断ミスをしてトラップしてしまい相手に奪われたのか
- 周りを観ていなかったから、相手のアプローチに気付いていなかったのか
この1つの場面でも、子供たちへのアプローチの仕方も違いますし、これを見分けられるかどうかが、上達するポイントになります。
よく見かけるのは、トラップミスをした選手に「ちゃんとトラップしろ」とアクションの部分ばかりを指摘することです。
それでいいのでしょうか?
これは指導者だけではなく、選手たちにもいえますが、観て判断するという部分は、他人には見えない部分なので、アクションだけに焦点を当ててしまいがちです。
ですが、首振りやポジショニングなどから、この選手はどうしようとしていたのか、ある程度がわかります。
そこから読み取って、子供たちにはアプローチしていかなくてはなりませんし、選手は自分に何が足りなくて、ミスをしてしまったのかを見極める力が必要になってきます。
質の良いトレーニングが仕入れられる!でも・・・
最近の主流として、YouTubeなどで簡単にスーパープレーを見れたりします。
ドリブルが得意な選手がドリブルの動画をあげていたり、トラップが上手くいく方法やロングボールをうまく蹴る方法、またプロチームもトレーニング動画を公開し、プロ選手がどういうトレーニングを行っているかも見れるので、とても質の高い情報を仕入れることができますし、それを参考にトレーニングを行うことができます。
勉強熱心なパパさんコーチや、指導者などはトレーニングなどを勉強し、
練習に取り入れている方もいらっしゃると思います。
しかし、川崎フロンターレが行っている練習やバルセロナなどのチームの練習を真似したところで、子供は上手くなりません。
上記のような本質を理解していないと、アクションばかりに気を取られて、改善点は改善されないので注意が必要です。
サイクルに分析・改善を取り入れよう!
選手が改善点を見つけ出す、簡単な方法をご紹介します。
- ボールをもらう前に周りを観ずに、相手に狙われているのに気づかずにボールをうばわれたのか?
- 状況は観ているが、適切な判断ができていないらから奪われたのか?(ポジショニングやワンタッチプレーでかわすなど)
- 状況確認はできていて良い判断はできているが、自分の技術がなくてトラップミスをしてしまい奪われたのか?
上記のようなことを参考に小中学生では、サイクルに分析や改善を取り入れてもいいかと思います。
これは私がやっていた方法ですが、ミスした際に、何が悪かったのかをつぶやくという方法です。
トレーニング時に、自分がやったプレーに対して、何が悪かったのかを15秒ぐらいで反省します。
今のプレーは相手を観てなかったな!とか、今のはポジショニングが悪かったな!今のは技術的なミスだったな!など呟きます。
たったそれだけです。
それをやることによって、頭が整理され、意識しながらトレーニングすることができます。
もし自分の思っている事と、指導者のコーチングがずれていたら、確認する事もできますのでオススメです。
声かけの大事さ
また改善点を見つけ出すのに必要なのが、指導者などの声かけです。
声かけは、とても重要になってきます。
例えば、トラップミスをした選手に、「ちゃんとトラップしろよ」とアクションの部分ばかりに焦点を当てていたら、改善点は全て技術になってしまいます。
しかし、本当に技術だけの問題なのでしょうか?
もしボールをもらう前に、周りを観ていなくて、相手のプレッシャーが早く、慌ててしまいトラップミスをした場合は、「観るスキル」に問題がありますよね?
その時の声かけとしては、「ちゃんとトラップしろよ」が適切でしょうか?
子供にも確認し、ボールが来る前にちゃんと敵が来ていたのを分かった上で、そのポジションでもらうと判断し、トラップミスをした場合は、技術の問題ですが、もし観ていなかった場合は、相手が来ていることもわからず、それによって適切な選択(ポジショニングや実行するプレー)をできずに、ミスしたことになります。
そこでの改善点は、「観る」ですよね?
なので、「しっかり周りを観て準備(ポジショニングや次のプレーの選択)しておかないと、相手からプレッシャーを受けて慌ててミスしてしまうよ!だから周りを観て準備しておこう」と言われれば、改善点が見え、普段の練習から意識してトレーニングすれば改善されていきます。
なので指導者の声かけもすごく重要になっているので、もし何が改善点かわからない場合は、選手は監督・コーチに聞いてみるのもいいかと思います。
もしアクションばかりの声かけになっていた場合は、その指導者には注意が必要でしょう!
バランス良く身につけよう!!
上記でも述べましたが、YouTubeなどで見て、参考にして、技術トレーニングをすることは大事ですが、技術ばかりでなく、普段のチームトレーニングで、観る練習や考える事を意識して行わないと、その技術は、宝の持ち腐れになってしまいます。
サッカーで活躍できる選手は、判断が良い選手です。小学生年代では、身長が大きかったり、足が早い子が活躍する傾向にありますが、中学・高校と大人になるにつれて、活躍する選手は、判断が良く、それを実行できる選手が生き残っていきます。
技術を身につけているのはもちろんですが、しっかりと状況を確認し効率的なプレーを選択することが出来る選手は試合で活躍できます。
高い技術を持った選手でも、狙いどころが悪ければゴールを奪うためのプレーにはなりません。しかし最低限のアクションを実行する技術を持った選手が、原理原則を知り、正しい判断をすれば効率的にゴールを奪うことができるようになります。
技術を持っていても判断が悪い選手より、多少、技術が粗削りでも周りを観て判断が行える選手の方が活躍しますよね。技術を習得することも大切ですが、状況を確認すること、効率的なプレーを選択することはもっと大切です。
観る技術を高め、その情報によって判断し、実行する技術を練習でバランス良く身につける事が、上手くなるには必須の条件ですよ!
参考になればと思います。
最後まで読んでくれてありがとうございました。